劇団木霊 稽古場日記

劇団木霊に所属する団員によるブログです。
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ユリイカのおはなし

「人間は不幸のどん底につき落とされ、
ころげ廻りながらも、
いつかしら一縷の希望の糸を
手さぐりで捜し当てているものだ。」
(太宰治『グッド・バイ』)

 
「ユリイカ・ユリイカ」のことを考えているとき、よく太宰が出てきます。
それもわりとポジティブな太宰が。
 
挨拶が遅れました。こんにちは!
作・演出の百瀬すずです。
きっとユリイカ期間中の更新は、これが最後になるでしょう。
なので、演出家から「ユリイカ」についてのお話を少しだけしたいと思います。
 
……………と思ったのですが、スタッフさんが素敵なキャッチコピーや感想をたくさん書いてくれて、いやぁ、これ私の出る幕全然なくない?って感じです(笑)   みなさん、本番前に今一度読み返してみてください!私も読みます!(笑)
 
過去の記事を遡ると、多くのスタッフさんが、綺麗だと、美しいと言ってくれています。

私は嬉しいような恥ずかしいような反面、なんだか素直に納得できなくって、その理由についてずっとずっと考えていました。
考えて、考えた末に、やっぱり敢えて大声で言いたいのです。
「綺麗なんかじゃねえよ」って。
醜い、醜い芝居です。出てくる人間たちも1人残らず醜いです。
醜いからこそ光ってる。綺麗は汚い、汚いは綺麗。
何もかもをぶちまけてのたうちまわってるから、そのみっともないまでの生命力が、綺麗なのだろうと。
彼らに日々、
もっともっともっと醜くなれよ、
汚い感情で狂死するくらいこの世を生きろよ、
動物のようなエネルギーで這い蹲れ、
これ以上ないってくらいに引き裂かれろよ、
と思います。

ユリイカは、1人の切ない少年のお話です。
少年を愛した温かい家族のお話です。
家族を取り囲むあらゆる優しい人たちのお話です。
誰かを愛し続け、
誰かを憎み続け、
未来を望み、
幸福の再生を願う、
そんなお話です。
ありとあらゆる不条理に苛まれ、他者に悩み、それでも肺に血を滲ませて息をして、愛することを、話すことをやめない生き物の、なんといじらしく、愛おしいことだろう。



最後に、まだ誰にも話したことないのですが、私がユリイカを作り上げていく中でずっと心に秘めていた短歌をひとつ紹介します。


 
『すっぽりとてのひらにある熱い塊
そういうかたちの愛だあなたは』

 (野口あや子)



熱い塊が爆発する瞬間の火花を見つけてください。
そして、この狂おしい世界で共に息をしてみませんか。

本日より、本番です!
劇場でお待ちしております。
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